2021年 12月 24日
ダーク・プレイス ( Dark Places ) |
Amazon Prime Video で視聴。
2015年、イギリス・フランス・アメリカ; 監督:ジル・パケ=プレネール; 主演:シャーリーズ・セロン
28年前に起こった殺人事件の謎を唯一の生き残りが解こうとする。
1985年、カンザスの農家で女手一つで子供四人を育てていた母親とその娘二人が惨殺される。当時8歳だったリビー(シャーリーズ・セロン)は生き残り、幼い彼女の証言から当時15歳だった兄のベンが犯人とされ、28年後の現在も服役中だった。家族を失ったリビーには寄付金が届き、彼女の本も出版され、リビーは生活に困ることはなかったが孤立して暮らしていた。貯えも底をつきかけたある日、「殺人クラブ」から手紙が届く。彼らは物証がないままベンが有罪とされた判決に疑問を抱いていた。……
フランス資本が入っているせいか、ちょっとフランス映画風な味わいのある作品でした。監督も、名前からしてフランス系でしょうか。シムノンの「メグレ警部」ものに通じる、登場人物の心理描写の陰影で面白味を出すタイプの物語になっています。
カンザスが舞台になっているので、アメリカ映画でアメリカの田舎町を観るのが好きな人にはうれしい作品。事件も田舎町に住む思春期の子供たちのもやもやがリアルに迫ってきて、このへんはスティーヴン・キングの小説に通じるものがあるかな。原作の小説「冥闇」の作者ギリアン・フリンは映画化された「ゴーン・ガール」の原作者でもありますが、目立つ意志力をもった者が主人公になる物語では背景で埋もれてしまうような人々の哀歓を描くのがうまい作家みたいですね。
謎解きというより、主人公リビーが呪縛から解放される過程を描いたおはなしと見たほうがいい。1980年代はアメリカで農家の破産が社会問題になって、そのことを主題にした映画も作られましたが、この物語の背景にもそういう時代相があります。
シャーリーズ・セロンも安心商品観あるスターですね。この映画では製作にも関わっています。そして、ベンのガールフレンドの若き日を演じたクロエ・グレース・モレッツが、やはり印象に残りました。
by nesskoDiary
| 2021-12-24 20:44
| 映画
|
Comments(2)
弊記事へのコメント有難うございました。
たった4年前に観たばかりなのに殆ど忘れているという惨状(笑)。自分の記事やnesskoさんを読んでいくうちに、少しずつ思い出しましたが。
僕は、一年を通じてほぼ毎日一本ずつ観るので、観るそばから忘れていきます。若い頃は同じ事をやっていても結構残りましたが、老骨の今はダメですね。
同時に、多数観るので、評価が厳しくなることが多いです。
>シムノンの「メグレ警部」
熱心な読者でなく、シムノンは二作ほどしか読んでいませんが、解るような気がします。
>主人公リビーが呪縛から解放される過程を描いたおはなし
仰る通りですが、ミステリー的に解釈すると、彼女が探偵役として活躍するという仕組みとも言えますね。
>シャーリーズ・セロン
非常な美女なのに、意識が高く、汚れ役も多い。
グレース・ケリーが今の女優だったら、彼女のような作品選びをするだろうか、とちょっと考えたりもします。
たった4年前に観たばかりなのに殆ど忘れているという惨状(笑)。自分の記事やnesskoさんを読んでいくうちに、少しずつ思い出しましたが。
僕は、一年を通じてほぼ毎日一本ずつ観るので、観るそばから忘れていきます。若い頃は同じ事をやっていても結構残りましたが、老骨の今はダメですね。
同時に、多数観るので、評価が厳しくなることが多いです。
>シムノンの「メグレ警部」
熱心な読者でなく、シムノンは二作ほどしか読んでいませんが、解るような気がします。
>主人公リビーが呪縛から解放される過程を描いたおはなし
仰る通りですが、ミステリー的に解釈すると、彼女が探偵役として活躍するという仕組みとも言えますね。
>シャーリーズ・セロン
非常な美女なのに、意識が高く、汚れ役も多い。
グレース・ケリーが今の女優だったら、彼女のような作品選びをするだろうか、とちょっと考えたりもします。
1
Commented
by
nesskoDiary at 2021-12-25 12:07
> オカピーさん
コメントありがとうございます。
ジョルジュ・シムノンは都築道夫がひじょうに推していて、当時の風俗が描かれているので読んで面白いと言うのと、古びないよさがあると説明していました。イギリスのミステリーの物語の伏線が収束していく謎解きの快感とは異質な、なんかちょっと妙なところのある登場人物がサイコではなくふつうの人として描かれているのが私はいいと思っています。
シャーリーズ・セロンはすばらしいですね。彼女が出演していることが保険になるせいか、不美人な役も特殊メイクで見た目を変えてやったりして、芝居が上手いのでいいんですけれども、そういう役はほかにできる役者がいそうなので、あれはちょっと「うーん」な感じが、強者が役を独占してしまってる状況に見えて、なんとかならんものかなあ、と。
グレース・ケリーは、当時としては、ベストな選択をしたんでしょうね>モナコ王妃
コメントありがとうございます。
ジョルジュ・シムノンは都築道夫がひじょうに推していて、当時の風俗が描かれているので読んで面白いと言うのと、古びないよさがあると説明していました。イギリスのミステリーの物語の伏線が収束していく謎解きの快感とは異質な、なんかちょっと妙なところのある登場人物がサイコではなくふつうの人として描かれているのが私はいいと思っています。
シャーリーズ・セロンはすばらしいですね。彼女が出演していることが保険になるせいか、不美人な役も特殊メイクで見た目を変えてやったりして、芝居が上手いのでいいんですけれども、そういう役はほかにできる役者がいそうなので、あれはちょっと「うーん」な感じが、強者が役を独占してしまってる状況に見えて、なんとかならんものかなあ、と。
グレース・ケリーは、当時としては、ベストな選択をしたんでしょうね>モナコ王妃