2022年 01月 07日
ナイトクローラー ( Nightcrawler ) |
Amazon Prime Video で視聴。
2014年、アメリカ; 監督:ダン・ギルロイ; 主演:ジェイク・ギレンホール
事件現場の映像をテレビ局に売り込む映像パパラッチを描く。
その日暮らしを続けていたルイス(ジェイク・ギレンホール)は、事故や事件現場の映像は売れることを知り、カメラを手に入れ警察無線を傍受しスクープ映像を求めて車を走らせるようになった。事故現場の映像がテレビ局に買い取られたことをきっかけに、さらに金になる映像を撮ろうと前のめりになっていく。……
いわゆる“映像パパラッチ”になっていく青年。主人公ルイスは、実際的な狡猾さや俗物性がありますが基調に妄想的な資質を感じさせます。そういう青年がカメラで現実から盗み取った映像で金と社会的地位を得ていく。彼の映像を買い取り使用するテレビも、視聴者の劣情を刺激することがビジネスにつながることをよく知っている。
映像パパラッチという存在に焦点を当てた物語ですが、いまはスマホでみんなすぐ映像を撮るし、災害時はテレビ局が一般人にニュースで使えそうな映像の投稿を求めるようになってますし、アクセス数を稼ぐ目的でユーチューブなんかでやってる人は、テレビが視聴率上げようとするときみたいに、いろいろ考えてやってたりするでしょう。だから、もはやみんながやっているようなことを、デフォルメしたような映画になってるのかもしれない。
テレビやSNSで他の人に見せるというところで、自分だけで見るのとはちがった快楽が出てくるんですね。そして、もうそれがないと実感が持てない、というタイプの人たちが出てきてるのかも。一人で思ってるだけではそれが自分の思いにすらならなくなってるような人が。
ルイスは現場へと車を飛ばすし、映像を撮るときの緊迫感、テレビで番組として編集していく作業の臨場感など、サスペンスフルに物語が流れます。尾行、覗き、と、ヒッチコックぽい映画のスリル満載。ハードボイルドの背景になるロサンゼルスのすばらしいこと。
主演のジェイク・ギレンホールと、テレビ番組のディレクターを演じたレネ・ルッソが、鋭い演技を見せてくれます。
最近ニュースでは、事件があると防犯カメラによる映像がよく出てきますよね。それで犯人がはっきり分かったりするんで安全には役立ってるようですが、よく考えるとビミョーなかんじしますでしょう。犯人確定には役立ってるんだろうけど防犯にはなってないよね、とか。道歩いているとみんなああいう映像撮られているわけで、それがどこでどう利用されているのかは、わたしたちには不明なままなんです。
この映画の中で、主人公が自分の都合のいいように映像を見せたり見せなかったりしてるんですけど、ああいうことが常に起こってるんでしょうね、映像に関しては。写真や映像って、すっごく証拠になるものではあるんですが、そういう面があるって分かるとなんか扱いめんどうなものなんだろうなって。
by nesskoDiary
| 2022-01-07 19:44
| 映画
|
Comments(2)
弊記事へのコメント有難うございました。
>視聴者の劣情を刺激することがビジネスにつながる
そうです。
洋画の不適切な邦題や、くだらないTVのワイドショーやバラエティーを批判する人が多いですが、その背景に視聴者なり観客なりの余り褒められない指向性(嗜好性か)があるのを忘れて言うのは、正しくないですね。
>尾行、覗き、と、ヒッチコックぽい映画のスリル満載。
これは言い得て妙です。
>主人公が自分の都合のいいように映像を見せたり見せなかったり
そういうのは、刑事事件などでもあるでしょうが、政治をめぐる報道に多いでしょうね。僕はどちらかと言えば、マスメディア擁護派ですけど。
>視聴者の劣情を刺激することがビジネスにつながる
そうです。
洋画の不適切な邦題や、くだらないTVのワイドショーやバラエティーを批判する人が多いですが、その背景に視聴者なり観客なりの余り褒められない指向性(嗜好性か)があるのを忘れて言うのは、正しくないですね。
>尾行、覗き、と、ヒッチコックぽい映画のスリル満載。
これは言い得て妙です。
>主人公が自分の都合のいいように映像を見せたり見せなかったり
そういうのは、刑事事件などでもあるでしょうが、政治をめぐる報道に多いでしょうね。僕はどちらかと言えば、マスメディア擁護派ですけど。
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Commented
by
nesskoDiary at 2022-01-08 10:46
> オカピーさん
コメントありがとうございます。
主人公の性格が歪んでいるせいで、変態ハードボイルドとでもいうべき映画に仕上がっていましたね。
マスメディア、テレビや週刊誌も含めて、耳目を集めようとして大衆の劣情を刺激するのは、仕方がないというか、大事なことに注目してもらおう、それで世論を喚起させよう、という性(サガ)みたなもので、そういうものなんだからとわかって見る側も受け取ってきたはずなんですが、SNSが普及すると、やみくもにマスコミを批判する人たちも出てきていますね。ちょっとあれはまずいんじゃないかと思います。権力に利用されそうな気配があります。
この映画は、わたしたちが物事を認知する際に、頭の中でどう処理しているかを見せてくれたような気もしました。うかつに「うそ」だとか「真実」だとか決めつけないほうがいいんですよね。でも、普段それを意識し続けるのはむずかしいなっていうのもあります。
コメントありがとうございます。
主人公の性格が歪んでいるせいで、変態ハードボイルドとでもいうべき映画に仕上がっていましたね。
マスメディア、テレビや週刊誌も含めて、耳目を集めようとして大衆の劣情を刺激するのは、仕方がないというか、大事なことに注目してもらおう、それで世論を喚起させよう、という性(サガ)みたなもので、そういうものなんだからとわかって見る側も受け取ってきたはずなんですが、SNSが普及すると、やみくもにマスコミを批判する人たちも出てきていますね。ちょっとあれはまずいんじゃないかと思います。権力に利用されそうな気配があります。
この映画は、わたしたちが物事を認知する際に、頭の中でどう処理しているかを見せてくれたような気もしました。うかつに「うそ」だとか「真実」だとか決めつけないほうがいいんですよね。でも、普段それを意識し続けるのはむずかしいなっていうのもあります。